2015-01-01から1年間の記事一覧
一流野球選手の身体の転回に観る全身まひ者(4) マイノリティにおける〈間性〉を経た、旗揚げ公演『色は臭へど』 前回は、『生きることのはじまり』に基づいて、金満里には劇団「態変」を旗揚げする前段に、七〇年代障害者運動との関わりとその後の沖縄へ…
一流野球選手の身体の転回に観る全身まひ者(3) 劇団「態変」旗揚げ公演前夜 ある芝居小屋の客席にて。 開演のベルを合図に客席の明かりがおちて真っ暗となり、しばらくすると役者の出を待つかのように舞台が明るく照らし出される。しかし、いっこうに役者…
一流野球選手の身体の転回に観る全身まひ者(2) 脳性まひ者と七〇年代障害者運動 「〈身体の一部が自分でない〉エクササイズ」を行うため、四人の役者が舞台の前に出てきて、中央に横並びする。向かって右から二番目の「イチロー」がインストラクターとな…
一流野球選手の身体の転回に観る全身まひ者(1) プレイボール 連載第一回となる前回は、二〇一四年公開のドキュメンタリー映画に主人公として出演した、自閉症(+知的障害)のアマチュアカメラマンの青年・米田裕二(以下、裕二君)が撮る写真そのものを…
贅沢貧乏『みんなよるがこわい』(三鷹北口共同ビル2階、2015年)は4人芝居というよりも1人+3人芝居で、1人の心中のネガティブな思考回路や葛藤が、3人の口喧嘩という形で表現される。 3人は同じ衣装を身にまとっていて、1人の寝ているベッドの下の狭い空間を…
1.国内のドキュメンタリー 日本におけるドキュメンタリー映画の隆盛は目覚ましい。キネマ旬報の年間ベストテンには久しく文化映画部門が設けられ、故・小川紳介が立ち上げた「山形国際ドキュメンタリー映画際」は1989年の第一回から現在まで隔年の開催が続け…
原田宗典が「新潮」8月号に発表した「メメント・モリ」。「私」が遭遇した生者と死者、常人と狂人についての記憶の断片が、長い歳月をあっちこっち飛びながら描かれている。古い友から届いた久しぶりの便り。胸の高まりに急かされて、部屋に戻る前に封筒を破…
はじめに 「障害者」という言葉がある。その対義語として、「健常者」という言葉がある。この二つの言葉が存在しない世界を探す旅に出よう。健常者の私は、障害者のあなたとともに。 写真における作為/作意(1) 私が前号(vol.4)に寄稿した長文批評で触…
賢明な読者の皆様方におかれましてはお察しのことと存じますが、今回の文フリで刊行する予定だった、 『スピラレ vol.5』の埋め合わせが、このブログ、『スピラレ スキップト』となります。 我々「スピラレ」一同は、これまでの二年間、半年に一回のペースで…